不動産を売却する際は、税金がかかります。売却額分をそのまま得られるイメージがあるかもしれませんが、実際は税金を支払うために、費用を確保しておく必要があります。
不動産売却では、手続きの際と売却利益が発生した場合に税金が必要です。よく聞くのは『譲渡所得税』ですが、それ以外にも印紙税、登録免許税といった税金がかかるため、しっかりと把握しておくことが重要です。
この記事では、不動産売却にかかる税金の種類や節税方法を解説します。不動産売却を検討している方は、必要になる税金の種類を把握する際の参考にしてみてください。
また、以下では台東区でおすすめの不動産会社を紹介していますので、会社選びでお悩みの方は参考にしてみるといいでしょう。
不動産売却にかかる税金の種類
不動産を売却する際には、主に以下のような税金が必要です。
それぞれの税金について解説します。
譲渡所得税
不動産を売却して利益が出た場合、その利益に対して所得税や住民税などの税金が課されます。この税金は一般的に『譲渡所得税』と呼ばれ、不動産や株式など特定の資産を売却した際に発生する税金です。
譲渡所得税は、売却時に得た金額から購入・売却にかかった費用を差し引いた『譲渡所得』がプラスになった場合に課税される仕組みとなっています。つまり、不動産売却によって利益を得た場合のみ、譲渡所得税が発生するということです。
譲渡所得に対する税金は、以下の3つから成り立っています。
- 所得税
- 住民税
- 復興特別所得税
不動産売却時にはこれらの税金が発生するため、事前に把握しておくことが重要です。
譲渡所得税の税率
譲渡所得に課される税率は、不動産の所有期間に応じて異なり、短期譲渡所得と長期譲渡所得に分かれています。
短期譲渡所得と長期譲渡所得の違いは、以下の通りです。
譲渡所得の税率 | 短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 |
所有期間 | 5年以内 | 5年を超える |
税率 | 39.63%(所得税30.63%、住民税9%) | 20.315%(所得税15.315%、住民税5%) |
さらに、税率には復興特別所得税が追加され、所得税に対して2.1%上乗せされます。そのため、短期譲渡の場合は約40.84%、長期譲渡の場合は約20.315%になります。復興特別所得税は、2037年まで支払いが義務付けられているため、復興特別所得税を考慮して計算しなければいけません。
このように、所有期間によって税率が大きく異なるため、売却時期の選定が重要です。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税は、譲渡所得にのみ課税されます。そのため、まずは以下の計算式で譲渡所得を算出します。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除
取得費とは、購入時の価格や購入にかかる諸費用のことです。購入価格がわからない場合、売却価格の5%を取得費として計算することも認められています。
譲渡費用は、不動産売却にかかる仲介手数料や、売却のために支払った修繕費用などが含まれます。さらに、一定の条件を満たす場合、特別控除として最大3,000万円が適用され、売却価格から差し引くことも可能です。
この譲渡所得に対して課税される税率は、短期譲渡所得か長期譲渡所得かで異なります。所有期間に応じた税率を譲渡所得にかけることで、譲渡所得税を算出できます。
登録免許税
登録免許税とは、不動産の所有権移転登記を行う際に必要となる税金です。売却時に新たな所有者へ名義を変更する際に、法的手続きをするために課されます。
不動産を売却する際に、売主は以下のような登記費用を負担しなければいけません。
- 住所変更登記
- 氏名変更登記
- 相続登記
- 抵当権抹消登記
登録免許税では、不動産の固定資産評価額に対して一定の税率が適用され、2%が原則です。
ただし、買主と売主の間で特別な取り決めがある場合、費用の負担が異なることがあります。そのため、売却を検討する際には事前に確認することが重要です。
税額は物件の評価額によって異なるため、実際に売却する際には評価額を確認し、おおよその負担額を把握しておく必要があります。
印紙税
印紙税は、不動産売買契約書に貼付する印紙に対して課される税金です。印紙税の金額は、契約書の金額に応じて決められています。
印紙税については、以下の通りです。
契約金額 | 印紙税 |
100万円超え~500万円以下 | 2,000円 |
500万円超え~1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超え~5,000万円以下 | 2万円 |
5,000円超え~1億円以下 | 6万円 |
1億円超え~5億円以下 | 10万円 |
印紙税は、売主側が負担するのが基本です。印紙税の支払いは契約書作成時に発生するため、売却プロセスの早い段階で費用を把握しておくことが重要です。
仲介手数料
不動産売却では、仲介手数料に対して消費税が発生します。仲介手数料は法律で上限が定められており、一般的には売却価格の3%に6万円を加えた金額が標準です。この仲介手数料に対して、消費税率が適用されます。
例えば1,000万円の物件を売却した場合、仲介手数料は以下のようになります。
1,000万円×3%+6万円=36万円
これに対して、消費税率が10%が上乗せされる場合、実際に支払う金額は以下の通りです。
36万円+(36万円×10%)=39万6,000円
消費税は、個人が自ら物件を売却する際にはかかりませんが、仲介手数料などの不動産取引に関わるサービスには課税対象となります。仲介手数料の上限金額について事前に理解しておくことで、不動産売却時にかかる総費用を把握しやすくなるでしょう。
不動産売却で活用できる節税対策
不動産売却の税金については、以下のような控除・軽減税率を活用することで、節税が可能です。
それぞれの節税対策について解説します。
3,000万円の特別控除
3,000万円の特別控除とは、一定の条件を満たす場合に、譲渡所得から最大3,000万円までを控除できるものです。
この特別控除を適用するには、売却した不動産が個人の居住用財産であることが条件です。売却した住宅やその敷地が本人の住まいである場合、3,000万円の特別控除を受けられます。
ただし、賃貸用や投資用の不動産を売却した場合、特別控除は受けられません。また、相続したマイホームは控除の対象外です。このように3,000万円の控除を受けるには条件があるため、注意しましょう。
10年間の長期保有による税率軽減
節税対策として、長期保有による不動産の場合税率軽減を受けられる可能性があります。
不動産の所有期間が10年を超える場合、課税譲渡所得のうち6,000万円以下の部分の税金については、所得税10.21%、住民税4%と優遇を受けることが可能です。6,000万円を超える部分については、長期譲渡所得と同じ税率になります。
この特例を活用することで、売却時の税負担を軽減し、手元に残る利益を増やすことが可能です。ただし、物件を売却する年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている必要があるため、売却のタイミングを計画的に考えることが重要になります。
買い替え時の税金の繰り延べ
特定のマイホームを買い換えた場合、譲渡所得税の納税を繰り延べができる可能性があります。以下の条件を満たすと、この特例が利用可能です。
- 居住している物件を売るか、物件とともにその敷地や借地権を売る
- 売却年の前年および前々年に、マイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例や軽減税率の適用を受けていない
- 売却・買い替えのマイホームのどちらも日本国内にある
- 売却代金が1億円以下
この繰り延べ特例を活用することで、売却時に発生する税負担を軽減し、資金を次の住居に充てることが可能です。ただし、繰り延べられた税金は永遠に免除されるわけではないため、注意が必要です。
不動産売却の税金に関するよくある質問
不動産売却の税金については、以下のような疑問が多くあります。
それぞれの質問について回答していきます。
確定申告はいつまでに?
不動産売却による所得が発生した場合、確定申告は翌年の2月16日から3月15日までに行う必要があります。
売却した年の1月1日から12月31日までに発生した所得を対象とし、期限内に申告しないと延滞税や加算税が発生する可能性があるため、注意が必要です。譲渡所得にかかる税金は計算が複雑になることが多いため、必要な書類を早めに揃えるようにしましょう。
税金を支払うタイミングと方法は?
不動産売却に伴う税金の支払いタイミングは、売却した年の翌年に行われます。具体的には、売却した年の翌年3月15日までに確定申告を行い、その際に売却益にかかる税金(譲渡所得税や住民税)を申告します。
税金は確定申告後に支払いますが、支払い方法は銀行振込やクレジットカード、口座振替から利用することが可能です。納付期限までに税金を支払わないと延滞税が発生するため、早めに準備を整えておくようにしましょう。
税理士に依頼するメリットは?
不動産売却において必要になる税金の手続きは、複雑な計算や各種控除の適用が必要なため、税理士に依頼することで負担を軽減できます。
税理士は専門的な知識を持ち、適切な節税対策や控除を見逃さずに提案することが可能です。また、譲渡所得税や住民税などの正確な計算を行う際に、税金を過不足なく申告でき、余計なペナルティを回避できます。
税理士に依頼することで書類作成や申告の手間が省けるため、時間と労力を節約し、安心して不動産取引を進められるのが大きなメリットです。
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まとめ
不動産売却では、さまざまな税金が必要になります。税金は売却を進める上で支払いが必要になるため、事前に把握しておくことが重要です。
売主自身で税金を計算することも可能ですが、手続きや売却と並行して進めなければいけないため、難しい場合は税理士に相談することも検討しましょう。専門家に税金を任せることで、納税が遅れたり金額が足りないといったリスクを軽減し、適切な不動産売却が進められるはずです。